文学座公演「女の一生」を船橋市民文化ホールで鑑賞した。敗戦前の1945年4月に初公演されて以来、女優杉村春子が947回、平淑惠が300回以上、そして今回から3代目の山本郁子が演じる。
第1次、第2次の2つの大戦を経る激動の時代を生き抜いた激しくも、哀しい女の一生を描いた作品だ。
主人公は「けい」。明治38年日本がようやく近代的な資本主義国の姿を整えはじめた時代。清との貿易で財をなした堤家に、天涯孤独のけいが拾われる。時が流れ、けいはその闊達な気性を見込まれ堤家の長男伸太郎の妻となるが、次男英二への憶いを断ち切って堤家の人となる。家業を継ぐ意思のない伸太郎に代わって、けいが堤家の支えとなり柱となるが・・・・・
中国の植民地化に乗じて財をなし、空襲でゼロになる堤家の奇跡は「大日本帝國」の一生でもある。戦後70年、今の時代に重ねて鑑賞した。