監査の対象は平成23年度で、東日本大震災や福島第一原発事故などによってまさに市の危機管理が問われた年であった。
外部監査は、内部監査では判らなかった問題点を指摘し、意見、改善点を述べている。その点では多いに評価できるものだ。
しかし、福島第一原発事故に伴う放射性物資の対応については、災害対策という視点からの監査は行われているが、健康危機管理の視点からの監査は行われていない。
市の放射線量の測定や放射物質の検査の初期対応や情報収集、情報提供については問題があった。放射能による市民への健康への影響が予測されたにもかかわらず、また、事故直後から市民や我々からも市独自で放射線量の測定と公表を求めたにもかかわらず、実際市が放射線量の測定と公表を始めたのは6月に入ってからだった。想定外のことであり、市には専門職員や所管する組織も明確でなかったことなどが原因だが、これらの経緯を監査、検証することは今後の健康危機管理にとっては重要なことだ。
包括外部監査結果について、監査人への説明要求と意見陳述は議会最終日の3月27日に行なうことになっている。
機能性低血糖症に係わる国の取り組みを求める意見書提出の陳情は、自由市政会、みんなの党を除く賛成多数で採択されたが、地域包括支援センター新設に関する陳情、生活保護基準を引き下げないよう求める意見書提出の陳情、保育所入所選定基準の見直しに関する陳情はいずれも賛成少数で不採択となった。
地域包括支援センター新設に関する陳情は、市が新たに設置する中部地域包括支援センターを民間事業者(社会福祉法人)に委託することは、委託された事業者の利用者の囲い込みや要支援者のケアプラン作成の再委託が公平に行なわれず、小規模事業者が利用者を増やすことができないとして、委託の中止や情報システムの確立を求めるものであった。
陳情者の懸念は理解するが、本事業は市にとって必要な事業であり、市は利用者の囲い込みをしないように、またケアプランの再委託は利用者が希望する場合であり公平に行なわれるように指導、チェックの体制を整えていることから、委託の中止を求める陳情には賛成できないとした。また、市には事業者への説明が不十分であったと指摘し、事業者への説明と情報の提供を求めた。
保育所入所選定基準の見直しに関する陳情は、待機児童が発生している中で、市の入所選定基準は、親が育児休暇・育児休業明けの児童の方が無認可保育所に入所して認可保育所への転所を待機している児童よりも優先的に入所できるようになっていることや、市外から転入して保育所を転所する場合の基準が考慮されていないことは、働く親の現在の社会的状況に合致していないとして基準の見直しを求めるもの。
市は市内在住者であれば、育児休暇・育児休業明け児童と無認可保育所に入所してる児童の扱いを同じにしており、市外からの転入者も市内在住者と同じ扱いにしていること。問題は認可保育所が不足していることで、認可保育所の増設で待機児童を解消すべきで、基準の見直しはあらたな不公平や矛盾を生むとして陳情には賛成できないとした。